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実験台フードの紹介

概要

フードは実験室に設置されており、様々な実験環境を保護する目的で利用されます。フードは、実験サンプルを周囲から遮蔽できるだけでなく、有害あるいは感染性のサンプルから研究者を保護することもできます。「フード」と呼ばれるものには、クリーンベンチ(ラミナーフローベンチ)、ドラフト、組織培養フードや生物学的安全キャビネット(安全キャビネット)が含まれています。全てのフードは、層流(ラミナーフロー)を利用して無菌的な環境を作り出し、また、シャッター、つまり保護用のガラス窓や無孔素材の実験台、空気の流入、排出など基本的な構造は同じです。実験に応じて最適なフードを選択する必要があります。例えばドラフトは、操作者を保護するためのものであり、実験環境は保護できません。反対に、クリーンベンチは実験自体を保護し、操作者の安全性は保証されないため、害のない実験サンプルを無菌状態に保つ必要のあるときに使用されます。操作者と実験環境のどちらも保護しなければならない場合には、組織培養フード、もしくは安全キャビネットを使用します。組織培養フードは、細胞の無菌状態の維持が目的となるのに対し、安全キャビネットは、感染性病原体を取り扱う実験での防御策として用いられます。実験に最適なフードを選択したら、次に適切な保護具を身に付け、必要な全ての安全手順に従って実験を開始して下さい。このビデオでは、層流の基本原理、フードの使用方法、さらにそれぞれのフード内で行われる様々な実験を紹介しています。

手順

実験で使われるフードは一般的に様々な実験環境を保護する目的で利用されます。

実験サンプルを周囲から遮蔽できるだけでなく、有害あるいは感染性のサンプルから研究者を保護することができます。

「フード」には、クリーンベンチ、ドラフト、組織培養フードや生物学的安全キャビネットなどがあります。実験に最適なフードを選択しましょう。

ほとんどのフードは層流によって無菌的な環境が作り出されます。層流とは空気が平行な層になって一定の速度で流れている状態です。

乱流とは対照的に、層流ではフード内の物体の周りを空気が流れるため、作業領域を無菌状態に保つことができ、また有害ガスをフード内に閉じ込めることもできます。

フードには水平層流または垂直層流型があります。

水平送風型のフードでは、フィルターを通った空気が、正面から前方へ水平に吹き出します。

垂直送風型のフードでは、フィルターを通った空気は上から下に吹き出し、排出の際に再びフィルターを通ります。これらフードでは作業領域を無菌状態に保つことができます。

全てのフードの基本構造は同じです。まず大切なのがシャッターです。これはスライド式のガラス窓であり、飛んでくる液体やガスを遮断します。水平方向に動くものや垂直方向に動くものがあります。

フード内の実験台は通常ステンレスなど通気性のない材質でできています。

全てのフードには吸気口がありそこから空気が取り込まれ排出されます。設置場所は、フードのタイプによって異なります。

通常シャッターのすぐ側には、空気の流入をコントロールするためのパネルがあります。中にはUVライトが備わっているものもあり、使用時以外はフード内をUVライトで殺菌できます。

使用中は絶対にUVライトをつけないでください。網膜損傷や皮膚火傷の原因となり、癌リスクを高めることにもなります。

実験に適したフードを選んだら、次に必要な個人用保護具、PPEを準備します。必要に応じてグローブやマスクなどを身に付けてください。

組織培養フード内での無菌操作が求められる実験では、実験台に70%エタノールをスプレーすることから始めます。エタノールは表面を殺菌し、何も残すことなく蒸発します。

また、使用する道具にも70%エタノールをスプレーしてからフード内に置くことできれいな環境を維持できます。

フード内に物を置くときは、空気の流れに留意しましょう。背面からの気流を遮断しないように、また前方から15cmは距離を置いて作業します。

実験中は最適な層流を維持するためにシャッターの高さにも注意を払って下さい。ほとんどのフードにはシャッターが上がり過ぎるとアラームが鳴るシステムが備わっています。

フードを使用しないときには常にシャッターを閉じるようにし、貴重なエネルギーをセーブしましょう。

ここまでフードの使い方を見てきました。ここからは、いくつかのフードのタイプとその中で行われる実験を見てみましょう。

これはドラフトという特殊なタイプのフードです。このフードは有毒ガスが発生する化学試薬を用いる実験を行うときに使用します。ドラフトは実験器具ではなく、操作者を保護するものです。従ってドラフトでは生体サンプルの操作はできず、無菌状態も維持できません。

ドラフトは組織固定など組織学の実験で利用されます。これらの工程では、腐食性薬品などの有毒化学物質を取り扱うためです。

これはクリーンベンチです。このフードは操作者の保護ではなく、実験自体を保護するためのものです。水平又は垂直送風型のもがあり、病原体の暴露を防ぐ必要のある細胞培養など、バイオセーフティレベル1を取り扱う実験で使用されます。

通常、解剖はクリーンベンチ内で行われます。この場合作業者の安全性ではなく、解剖した組織を無菌状態に維持することが目的となります。

安全キャビネットまたは組織培養フードは、操作者と実験どちらも保護できます。そして文字通り、組織培養は組織培養フード内で行います。これらフードでは実験スペースが無菌状態に保たれ、全ての空気は、高性能フィルター、又はHEPAフィルターを通過して、キャビネット内へ流入そして排出されます。

多くの生物医学研究室には、組織培養液をアスピレートするための真空吸引システムが備わった組織培養フードが設置されています。

安全キャビネットや組織培養フードには様々なタイプがあります。新しい実験を始める前に、フードのバイオセーフティレベルを確認しましょう。

ここまでJoVE実験台フードの紹介編をご覧いただきました。このビデオでは、フードの基本原理、層流について、一般的なフードの構造、フード内で行われる実験そしていろいろなフードのタイプを紹介しました。

ご覧いただきありがとうございました。シャッターは忘れずに閉めましょう。

参考文献
開示

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タグ
HoodLaboratory ExperimentsProtective EnclosureHazardous SamplesLaminar FlowFume HoodsTissue Culture HoodBiosafety CabinetsSterilityNoxious Chemical FumesHorizontal Flow HoodsVertical Flow HoodsWindow SashWork Surface

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Overview

0:40

The Principle of Laminar Flow

1:43

Parts of the Hood and Hood Types

2:59

Hoods: Basic Use

4:17

Applications

6:37

Summary

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